10/12/29 Things Have Changed
今年は読みたい本もたくさん読めたし、見たい映画もわりと見られたし、情報のインプットに関しては充実した一年でした。
（BGM：Serani Poji「ありふれた毎日の歌」）
というような一年のまとめ的感想を抱いていたところで、やべっ、サイト更新してねぇ、という不始末に気付いたので急いで尻を拭う更新です。
（BGM：chocolatre「メアリー」）
一年ぶりの更新ということで、もはや濁すべきお茶もカラカラに乾いており、虚空を指でかき混ぜるがごとき「無力感」および「手遅れ感」がすさまじいです。「なんちゃって」では済まされない感じがします。
しかしながら、「絶望や徒労を恐れない」というのが今年さまざまなエンターテインメント作品から受け取った教訓でした。
（BGM：KOHEI JAPAN「希望 feat. EMI MARIA」）
さて、教訓に従えば、サイトリニューアルの話をしないわけにはいきません。
最初に「そろそろここのサイトデザインもリニューアルが必要だな」と思いはじめたのが2010年を迎えて半年ほど経った初夏のころでした。
（BGM：スピッツ「若葉」）
風景の目まぐるしく移り変わるWebの大海原で、芳しいWeb2.0の香り漂うこのサイトのタイトル画像は、打ち捨てられた小型客船のごとく暗い光を放っており、見ていてなんだか言い知れない物悲しさに襲われた、というのがリニューアルを決めた主たる要因です。
（BGM：YUKI「さようなら、おかえり」）
で、何もしないままどういうわけか時は年末です。
（BGM：カヒミ・カリィ「Time Travelers」）
夏が終わるころ、もうリニューアルしなくていいかな、とか若干思いはじめている自分がいたのは事実です。
しかし、いくらこのサイトが自分自身のサプリメントとしてしか機能していないのだとしても、合理よりも非合理を選択すべきときがあるのです。
食べたいけど食べないとか、眠いけど寝ないとかと一緒です。人は葛藤を乗り越えて成長するのです。
（BGM：GO!GO!7188「リフレイン リフレイン」）
といった宣言を真顔でスルーして現行デザインのまま突っ走る可能性もあります。でも、そういう絶望的な選択肢を選ぶ自分に怯えてはならないのです。成熟を拒んで不思議の国に逃げ込むことも時には必要なのです。リニューアルには期限延長という意味もあるのですから。
（BGM：井上陽水「覚めない夢」）
なんちゃって。
（BGM：やくしまるえつこ「なんちゃって・ザ・ワールド」）
（タイトル：Cradle Orchestra「Things Have Changed feat. Pismo」）
09/12/31 瀬戸際で生きる
簡易的な新年の挨拶がフライングぎみに電波に乗って飛び交うなか、壊れかけのケータイを片手に今年最後の更新です。挙動のおかしな携帯電話をあやすのに忙しくて今年を振り返る時間もないのですが、とりあえず今年一年を漢字一文字で表すと蓮舫です。もしくは森ガールです。
さあ、まもなく2010年代に突入します。失礼ながらわたくしめも簡易的なご挨拶で本年の締めとさせていただきます。メリークリスマス！
09/08/14 おっととっと
我がウェブサイトさん、お久しぶりです。
本日こうして日記を更新いたしましたのは、前回更新から3ヶ月ほど経ったころからあなたを放置していることに対する『良心の呵責』なる黒々とした沈殿物が我が心に発生し、さらに3ヶ月の時を経ると、
「日記をつけないことで良心の呵責を感じるということは、日記をつけるという行為は良心によるものなのだろうか否ない」
「ならば良心の呵責もまたまぼろしナリ」
という論理の下に『良心の呵責に対する呵責』が白々と発生・沈殿するやいなや黒と白は互いに衝突し、我が心の内の緑青をそぎ落としながら回転融合して出来た色がグリーン、2009年秋冬の流行色です。
さて、前回の日記が1月末で、本日は8月の14日ですから、春をまるごと飛び越えての更新とあいなりました。これは、春期の更新の欠落によって著者に春が訪れなかったことを暗示するという高等表現です。やかましいわ。
09/01/25 おかまの社会学
pixivに大きい絵があります。
「オカマっぽい」という言葉の意味を図りかねている。
「オカマ」の本来的な意味は「男色」なのだけど、例えば飲み会の席で、ある男性が座敷に正座を崩したような格好で座り、卓上に両肘をつきながら祈るように両手で持った梅酒ソーダをちびりちびりと飲んでいるときに飲み会に遅刻してきた誰かに突然「そのしぐさ、オカマっぽいね」と言われたとして、その「オカマっぽい」の意味は「男色っぽい」ことを示しているのではなく、男色の男の女性っぽさを示しているはずである。敷衍して言えば、女性っぽい所作の男を「オカマっぽい」と言っているわけである。
それならば「女性っぽい」でいいのではないか。というより、「オカマっぽい」では意味が薄まっているのではないか。
つまり、しぐさが「女性っぽい」と言われた男性は「オカマっぽい」わけである。では、「オカマっぽい」と言われた男性は一体何っぽいのか。
いま、男が「女性っぽい」要素を100％取り入れたとして、この男性を「男50％女50％」のオカマであると乱暴に定義づける（この男は「女性っぽい」要素を取り入れる前は当然「男100％」であるから、「女性っぽい」要素を100％取り入れたとしても全体として「男50％女50％」のオカマになる）。
このとき、男100％の男を「オカマっぽい」と評することは、その男が女性の要素を25％程度持っていることを示すのと同義である。
さて、25％程度女性の所作の要素を持つ男性というのを想像すると、ほどよくジェントルな仕上がりになる。男は紳士になり、輝きだす。
今年（2009年）のセンター試験の現代国語で、鬼ごっこから派生した「複数オニ」や「陣オニ」などに現代社会の構造を見出すことで逆に現代社会を説明する、というような内容の評論が出題されていた。現代と言っても1984年の評論であるから古く感じる部分は随分あったが、ロジックは興味深いものだった。
今回僕が目指したのはそういうことで、つまり「オカマっぽい」という言葉が指し示す意味が個人間で異なることや、性的な評価が日常的に行われていることを描き出すことで、現代のジェンダー問題の根幹に切り込もうとしたのだけどここまで読んだ人のほとんどは意味を図りかねているなんてことはマルっとお見通しだ！
09/01/11 敗北の夜明け
pixivに大きい絵があります。
まず、「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」を略した形の「あけおめことよろ」という言に感じる尋常ならざる違和とそれにまつわるエトセトラについて、僕の話を聞いて欲しい。
ウェブ上で最もポップな新年の挨拶としてブログやメール、掲示板など、至る所で目にする「あけおめことよろ」。文面で見る分にはそれほど違和感がないのだけど、面と向かって言われた場合にコミュニケーション上の問題が生じる。
まあ、百歩譲って「あけおめ」はよしとしよう。挨拶というものは一種の記号であるし、そもそも言語の違いによって「ハッピー ニュー イヤー」にも「ブォン アンノ」にもなるわけで、互いが「あけおめ」を新年の挨拶として認識しており、不愉快にならないという了解が双方にあるという条件下ならば「あけおめ」は立派に新年の挨拶として通用するだろう。でも僕は了解してない。
寛大な心で「あけおめ」を許したとしても、「ことよろ」に関しては抱える問題が大きすぎて僕の手には負えない。
まず、「ことよろ」という語は自己修飾していない。つまり、「ことよろ」には「よろしくお願いする感じ」（以下「よろしく感」）が微塵もない。よって、「ことよろ」と言われた場合に、僕は相手に対してどのような態度を取ればよいのか分からない。本当によろしくお願いしたいのならば略さずに「よろしくお願いします」と言うはずであるから、僕に向かって「ことよろ」と言う目の前の相手は僕に対してそれほどよろしくお願いしないことを表明しているわけであるが、しかし、「ことよろ」は「今年もよろしくお願いします」の省略形とされているのだからもしかしてよろしくお願いしているのかもしれず、僕は二律背反に踊らされる。
踊り疲れて、結局、5.1チャンネルスピーカーからディスク1は終了しましたディスク2に交換してくださいの音声メッセージがひたすら流れるのだけどディスク2が見つからないときのあの泣き笑いの表情で「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と応じなければならない僕の気持ちには誰も気付かないし気付いたところで黙殺されるに違いない。それにきっと本当の気持ちを隠して仮面の表側だけを見せて生きるのが大人なのだと思うのだけど、でももう今日は思い切って本当のことを言う。僕も略したい。
