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06/06/11   アインシュタインコード

こんばんは、情緒不安定です。

っていう書き出しだと、まるで僕が“情緒不安定”という名前であるかのようです。

 

今日の議題は「比較」。

 

すべては相対的である。

と言ったのはアルバート・アインシュタインだったでしょうか。今よりもずっと若い頃に聞いたその言葉も、資本主義社会に身を埋めると確かに真理であることに思い至ります。

そもそも資本主義社会の形成は、18世紀後半のイギリスで起こった産業革命に端を発します。

生産工程に機械を導入することで人件費を減らし、その余剰を労働者に還元せず私腹を肥やす資本家。生産手段を持つブルジョアと労働力しか持たないプロレタリアとの貧富の差はこうした社会構造の下で拡大していきました。

また、産業革命は『印刷』という技術を生み、印刷技術は『紙幣』を生み出しました。紙幣の誕生は経済を回すきっかけとなったと言っても過言ではなく、近代資本主義社会においていよいよ経済格差を顕著なものにしたのです。

紙幣の誕生以前、『貨幣』というものがこの世に生まれた時、モノの価値は『価格』という数値により可視化され、それまで人々が各々十人十色に抱いていた価値観を揺さぶりました。可視であるということは比較が容易であるということに他なりません。その容易さによって我々は物事の絶対的価値を見失い、何かと比較することに惑溺してしまったのです。

 

つまり、『すべては相対的である』という彼の言葉が現代ではある種『絶対的である』という皮肉。

 

隣人に嫉妬したり、出世する同僚の学歴を羨んだり、現在の恋人を過去の恋人と比べたり。我々は比較することをやめられません。資本主義という社会構造がそうさせるのか、あるいは本能的に備わったものなのか、それは分かりません。ただひとつ分かることは、近代資本主義経済がそうした比較のもとに成り立っているということだけです。

 

しかしながら、先日僕が目撃した、勤め先の最寄駅から途切れることなく溢れ出るスーツ姿の男女の群れ群れと、その流れに逆らうように疾走するセーラー服姿の中年男性(with それを追走する自転車に乗った警官)のコントラストは現代日本が抱えるカオスそのものだったのです。

 

 

 

 

今日のおまけ。

結局何が言いたいのか絶対的に意味不明な日記。

8日ぶりの更新でこんなこと言うのは恐縮ですが、今日の日記は読まなくてもよいです。

という一文を最後に書いてしまうのは情緒不安定がそうさせるのか。

 

06/06/03   科学進歩の是非

今日の議題は「人間および科学の進歩速度の対比とその考察」。

土曜日とはいえ朝は短距離走者が大量発生する最寄の駅周辺。通勤通学のため、老若男女がしのぎを削る毎朝の光景。もううんざりだ。

大体、人間様が電車などという箱の到着時間に合わせて行動せにゃならんというシステムにキミたちは疑問を抱かんのかね。利便性を追求した結果がこれかね。
キミたちは走っているんじゃない!走らされているんだぞ!

と思いながらも例に漏れず猛ダッシュの僕。
そんななか、ケータイで会話しながらダッシュする人、発見!
緊急を要する会話なのかねキミ。
「今年、ウォータースライダーで・・・・・・」
緊急性うんぬんの前に時期的にまだ早い!

しっかし、ラッシュ時にケータイ掛けてまでする会話の内容が水の滑り台かね。それともウォータースライダーは何かの隠語かね。とにかく、いい大人が隙あらばケータイを掛け狂うってのはもうやめにしようや。

現代人は知らず知らずのうちに科学に踊らされておることに気付かんのか、それとも気付いていてもなお踊り続けておるのか、ダンシングクイーンなのか。どちらにしてもキミたちは、デトックスだUVカットだって言いながら電磁波は大好物だという矛盾を抱えていますっていう一文を名刺に添えなさい!

 

電磁波の影響は距離の二乗に反比例します。みんな気をつけてね☆(飴と鞭。)

 

 

 

今日のおまけ。

人間はつくづく矛盾を含む生き物ですね。

この番組は電磁波を放出するパソコンを使用してお送りしました。

 

06/06/01   恋文

本日は恒例の短編難解用語解説です。2回目にして恒例と言い張ったのは一番筆が進むからです。みるみるススム君だからです。ならば恒例にしてしまえばよいではありませんか。すわ、チャンスは今です。という天啓が聞こえました。

本当は聞こえなかったんですがそんなのは些細なことです。

 

今日の議題は「セレンディピティー」。(ちなみに短編難解用語解説1回目は5月16日の日記です。)

 

前略
街にぽつりぽつり灯が燈る黄昏時、仕事場の窓から見える夕日はペンキが擦れたような雲に覆われて滲み、その朱色は見惚れるほど美しく、しかしその美しさは瞬刻の内に失われて僕を憂いの淵に沈めます。そんなとき、あなたのことを想うのです。

 

先日、京都にて面白い光景を目に致しました。

時は宵の口、どんぐり橋を渡って四条大橋をくぐり、鴨川に沿って三条に向かう道程でした。月光は眩しく、また、鴨川沿いの家並みの数々はオレンジ色の灯りを漏らしておりましたので、視界は十二分に明るくありました。対岸から吹く風が頬を撫でてゆきます。

そんな折、鴨川を泳ぐ大小二羽の水鳥が目に入りました。大きい方の一羽が小さい方のそれに餌を与えているようで、実に微笑ましい光景でありました。きっと親子なのだろうと僕は思いました。

しかし、暫らくするともう一羽、先の二羽よりも幾分大きな水鳥が現れたのです。やがてその大きな一羽は先の二羽の内の大きい方を連れて飛び立ちました。そして、残った小さい一羽も少し遅れて飛び立ちました。二羽が飛び立ったのとは全く逆の方角に。

鴨川の水面に映る月は、幾重にも折り重なった水紋でゆらゆらと踊っておりました。

 

近頃では水鳥の世界にも複雑な家庭環境というやつが存在するのでしょうか。まさかそんなことはありませんよね。これは僕の都合の良い想像でありましょう。それに、あらゆる複雑な物事も当人にしてみればシンプルであることは往々にしてあります。

あなたと僕の関係もまた複雑怪奇でありましょう。他人に説明するのは些か億劫であります。しかしながら、僕の胸中は実に単純なものです。唯一つの想いで満たされております。

僕の想いは不変です。不変ではありますが、勿論、永遠の約束なんぞ出来ようはずがありません。この世に人類が誕生して以来現在に至るまで“絶対”であったことなど何一つとして無いからであります。万物は絶えず変化し、その結果として今があるからです。そして世界はこれからも変化し続けてゆくのです。

それでも今は、その薄いくちびるも小さな歯も時折見せる笑顔も優しげな声もそれに反した淡白な言葉も僕を狼狽させる突然の鋭い質疑も食事中お腹を触って満腹をアピールする様も、あなたを構成するその何もかもを両のてのひらでそっと包んで守りたいと。そのありのままの美しさをこの身に代えても守りたいと。そう想うのです。

あなたのことを想うのです。

 

 

 

 

 

追伸
お金を貸してください。ああ、心配無用です。すぐにお返しします。

絶対。

 

 

 

 

今日のおまけ。

無利子でお願いします。

つまりセレンディピティーとは、思わぬものを偶然発見する能力です。科学の世界では失敗から大発明を生み出したという話をよく耳にしますが、それがセレンディピティーです。

『つまり』とは言ったもののセレンディピティーが今回の内容とは全然関係なかったというオチを添えて。

 

会議目次


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