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08/08/31    ぼくに許された長い休暇の終わり

先日、といってもかなり過去の話になるのですが、高級創作和食料理なるものを食す機会がありました。

テーブルの上に並ぶのは『食』に対する欲望の具現。キャビアの軍艦巻きや牛肉のたたきの握りなど、美味いものを求めすぎて結果的におそろしく下品になった料理群は、店内の落ち着いた雰囲気のもとでどうにか和食としての体面を保っていました。しかしながら、というか当然の如く、それらの料理は下衆な庶民であるところの僕には美味であり、久しく忘れていた『食』への探求心を取り戻した次第です。

ただそれは、カンフー映画を観たあとに強くなった気になるあれと同じです。自分が一時的に無敵状態であると錯覚するあれです。なにしろ僕はその日の帰りに普段一滴も飲まない(飲めない)ワインを買って帰ったのですから、完全にあの状態だったと言えるでしょう。
後々考えると恥知らずすぎて顔が赤くなります。ちょうどワインレッドです。とか言うのは今年限りにしたいと思います。「ちょうど」の意味もよく分かりませんし。

沸き上がる『食』への興味がメインディッシュとなる食材ではなくワインに向けられたことに関しては、冷静さを取り戻した今も謎です。怒号も嬌声もない静やかなあの空間が料理の品格を高めていたのは明白であり、とするとマナーが『食』に与える影響は大きいし、マナーといえばワイン、という論法であの日僕がワインを買ったのなら、僕は自分に絶望します。

ところで、ワインは長期間寝かせる(保存する)と風味が増すという印象がありますが、これは極一部のワインに限られたことで、普通は早飲みするほうが美味しく飲めるといいます。この事実と、8ヶ月も寝かせておいて大したことが書けないということをどうにかしてこじつけようと思いました。しかしそんなことは無理だったのです。あけまして残暑お見舞い申し上げます。

 

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